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増え続けるアレルギー

じんましんや食物アレルギーなども、アレルギー疾患として昔から知られていました。これら代表的なアレルギー疾患も、以前に比べて増加しています。それはアレルギー嘔として長年、診察にあたってきた私の実感であり、いろいろなデータでも示されています。

アレルギー疾患が増加しているーその原因として、大気汚染や食生活の変化、ストレスの増加など、いくつかの現象が問題にされています。これら増加原因とされるものについて、きちんと検証することはきわめて有意義です。

なにより、アレルギーの増加の原因が共体的にわかれば、減らすための対策を考えることができます。本書では、アレルギー増加原因の検証も行っていきます。

アレルギーによる症状が多様なわけ

花粉症は、鼻や目や喉に症状が現れます。アトピー性皮膚炎は、皮膚が乾燥したり、かゆくなったり、しっしんができたりします。ぜんそくは気管が炎症を起こして細くなり、呼吸が苦しくなります。食物アレルギーは腸管が害され、腹痛や下痢が起こります。

現在これらはすべて、アレルギー疾患として1つの枠にくくられ、発症の基本的なメカニズムもほぽ解明されています。ですから症状が多様であっても、同じアレルギー疾患と呼ぶことに、特に違和感を抱かない方も多いかもしれません。しかしアレルギーとして認識されていなかったころは、それぞれが別の病気であると考えられていたケースも多々ありました。

ここで、ちょっと視点を変えてみまよう。私たち人間が生物学的に発生する過程を考えると、お母さんの子宮の中の受精卵がいくつかの段階をへて胎児になり、それから「オギャー」と生まれてきます。

このとき、受精卵が細胞分裂を開始してから、胎児として成長するまでの途申の状態を「胚」と呼びます。大ざっぱにいうと、受精卵から胚の段階をへて胎児になります。そして、この「胚」のある段階で、表面の細胞川が内側に入り込み、内部が袋のような形になります。このとき、表面の部分を「外胚葉」、入り込んだ内部を「内胚葉」と呼びます。

その後、外胚葉は皮膚や神経になり、内胚葉は消化管になります。しかし、もとをたどれば、両者は同じ細胞層です。このように見れば、アレルギーの症状が皮膚に現れても、消化器に現れても、不思議なことではありません。

皮膚で起こるのと同じ反応が、消化器でも起こるというだけのことなのです。

アレルギ一体質は本当にある?

いま花粉症をもっている人のなかには、小さいころからずっとアレルギーによる疾患に悩まされてきた人もいると思います。赤ちゃんのときはアトピー性皮膚炎にかかり、2~3歳になったときには、風邪をひくとゼイゼイと咳き込んで「ぜんそく前段階」になり、小学生になったころ、小児ぜんそくと診断される。思春期になると体力がつくので、ぜんそくの症状が現れなくなることもある。しかし、その代わりに花粉症になったー。

このように次々にアレルギー疾患が現れることを、同愛記念病院の馬場尖先生は「アレルギーマーチ」と呼びました。アトピーの後ろにぜんそくが、その後ろにまた花粉症が、というふうに、アレルギーの病気が行進している様子を想像してみてください。

こういう例を見ると、アレルギーを起こしやすい体質というものがありそうに思えますね。確かに、アレルギー体質である人はいます。ただし、この体質の問題はそれほど単純ではありません。

私はアレルギー体質について説明するとき、氷山をたとえにしています。‘氷山の一角”といわれるように、氷山の水上に見えている部分は、全体のほんの一部にすぎません。大部分は水面の下に隠れています。アレルギー体質とは、その氷山の隠れた部分 隠れた部分としてアレルギー体質をもっていると、氷山の一角のように、あるときはアトピーの症状がでて、またあるときは花粉症がでる、ということが起こります。どの時期にどの病気の症状が現れるかは、環境因子と体質の相性などが関係します。

ただし、アレルギー体質をもっていても、かならずしも症状がでるとはかぎりません。アレルギーは、一筋縄ではいかない、複雑な要因をもつ疾病なのです。のようなものです。