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春の到来を喜べない花粉症患者

春、梅がはころび、気分をよくしたウグイスがあの特徴的な鳴き方の練習をはじめます。私たち人問も、真冬の寒さが1日1日とやわらいできて、日差しにうららかさを感じるようになり、春の訪れを心待ちにするころです。

しかし、春の訪れを素心に喜べない人たちがいます。2月に入ると、アレルギークリニックの患者さんの数は、ふだんの月の2倍にふくれあがります。

そうです。お察しと思いますが、花粉症に苫しむ人たちです。用心深い患者さんのなかには、1月のうちから来院して、予防薬の処方を望む人もいますが、毎年、2月から4月いっぱいはクリニックをあげて「花粉症と戦うシーズン」になります。

このシーズンには、来院者の約8割を花粉症の患者さんが占め、「鼻がつまって息苦しい!」「くしゃみが止まらない!」「日がかゆくてたまらない。目玉を取りだして、水をジャージャーかけて、花粉を洗い流してしまいたい!」「鼻水がとめどなく垂れてきて、ティッシュペーパー箱ごと手放せない!」などの症状を訴えます。

花粉症がアレルギー疾患の1つであることは、いまではだれもが知っています。・世界の歴史を見れば、花粉が原因となるアレルギー疾患は大昔からあったようです。 しかし、中高年の方ならご存じと思いますが、花粉症の名を聞くようになったのは、それほど昔のことではありません。

春先になると、大勢の人がくしゃみをはじめるのは、スギ花粉が原閃です。このスギ花粉症の発見者は、東京医科歯科大学の斎藤洋三先生で、1963年のこととされています。しかし一般の人々が、「スギの花粉が原因で花粉症というアレルギー病が起こる」ことを知るのは、1970年代半ば以降でしょう。そのころから花粉症が急増するからです。

最新のデータでは、日本人の2396が花粉症に苦しんでいるという結果がでています。たかだか30年前には、ほとんどの人が花粉症の名前すら知らなかったというのに、いまでは「国民病」という呼び方までされるようになりました、
 T.S.エリオットの詩「荒地」の冒頭の句「4月はもっとも残酷な月だ」は有名ですが、日本人の4~5人に1人が、「春はもっとも残酷な季節だ」と嘆かざるをえないのが現状です。
 いったい、なにがどうなったのでしょうか?

アトピーってアレルギー?

私が医師になって三十数年経ちますが、医学生だったころの教科書には、アトピー性皮膚炎について「小児、乳幼児に特有なしっしんであり、だいたい思春期に消えてしまう軽微な病気」という意味のことが、字数にしてわずか1~2行書かれているだけでした。アレルギーとのかかわりも、いっさい触れられていません。

それがいまでは花粉症と並んで、代表的なアレルギー疾患の1つになっています(ただしアトピー性皮膚炎は複雑な疾患で、アレルギー性ではないアトピー疾患もあります)。みなさんのなかにも自分自身がアトピー性皮膚炎(以下、アトピーと略)で悩んだとか、あるいは現在も苦しめられているという方がいることでしょう。あるいはお子さんがアトピーにかかって、「効果がありそうなことならなんでもしている」という親御さんもいますし、身近なだれかがアトピーで悩んでいるという方も大勢いるはずです。

三十数年前には、医師ですらアトピーがアレルギーであるという認識をしていなかったようです。「えっ、アトピーつてアレルギーなの?」というような感じでした。このアトピーは近年になって、小児だけでなく成人にも急激に増えてきたアレルギー疾患です。

ぜんそくは心理的な病気?

では、ぜんそくはどうでしょうか? この病名には、中高年の方も子供のころからなじみがあると思います。

当時、ぜんそくは多分に心理的な要因による病気だと考えられていました。これに関して、有ylなバラぜんそく患者の話がありますね。バラぜんそくの人は、実際にはバラの花粉を吸うことによって発作を起こします。ところがバラの造花を見ても、発作を起こす人がいるのです。

もちろん、造花のバラに花粉はありません、しかし、いつもバラの花と発作が結びついている人にとっては、たとえ造花でもバラの花を視覚的に認めたことが刺激になり、自律神経のバランスを崩して発作が起こると考えられます。

こういう例かあるので、ぜんそくは心理的要因が強いといわれていたのですが、昭和40年代に入って、ハウスダストの中のチリダニが原因でぜんそくが起こることがわかり、アレルギー性疾患としてのぜんそくの解明が進められました。

現在、私たちが使っている教科書では、多くのページがぜんそくのために割かれています。