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花粉症患者はどこまでも増え続ける?

前述しましたが、スギ花粉が飛びはじめると、鼻炎や結膜炎などの症状を起こす人は、日本人の20数%ほどに達します。科学的にいえば、これらの人たちはスギ花粉に対する「抗体」と呼ばれる物質が体の中にできているのです。

血液検査のデータを統計的に見ると、日本人の40~50%がスギ花粉に対する「抗体」をもっています。つまり抗体をもっていても、花粉症を発症しない人がいるわけです。では、この人たちも今後どこかの時点で花粉症にかかるのでしょうか? すでに発症している人たちと同じく、抗体をもっているのですから、理論的にはそのうちいつかは発症しそうなものですね。

ところが、現在の統計学では、どんなに増えても、花粉症患者の数は日本人の30%を超えないだろうといわれています。抗体をもっていても、症状が一生現れない人(疑陽性)がかなりいるということです。このことは、ほかのすべてのアレルギーについてもいえます。

抗体をもちながら、なぜ発症しないのでしょうか? その理由はいまだにわかっていません。アレルギーの謎の部分なのです。

花粉症には別の役割がある

花粉症をもっている人は、花粉の飛ぶ時期が一刻も早く過ぎ去ってほしいと願っているでしょう。 しかしものは考えようです。花粉症のいやな面ばかりを見るのをちょっとやめて、よい面がないか探してみましょう。

鼻がつまって呼吸が苦しく、夜もなかなか安眠できない。こういう状態は確かに好ましくなく、とうてい歓迎できません。花粉が鼻孔から入ってくると、なぜ鼻づまりになるのでしょうか?

それは、鼻孔の粘膜が花粉を追いだそうとして反応を起こすからです。鼻孔の構造はなかなか複雑になっていて、空気が入ってくると中で乱流を起こします。スーツとそのまま通り抜けてしまわないような構造がつくられているのです。私たちが吸い込む空気の中には、チリやホコリが混じっています。花粉の飛ぶ時期なら、花粉も混じっています。これらは体の中に入ってきてほしくないものです。

鼻孔の中に生えている鼻毛にも、ちゃんとした役割があります。体の中に入ってきては困る微粒子をからめ取り、気竹にまで入らないようにしているのです。つまり、フィルターとして機能しているわけです。

しかし、このフィルターにかからない微粒子もあり、それらが気管に入らないようにしたいときに、入ってきた空気が乱流を起こすようになっていれば、空気は鼻孔の中の粘膜にぶつかります。花粉症の人の場合、花粉が粘膜に接触することで炎症が起こり、腫れ上がって鼻づまり状態になります。確かに余計な反応です。

しかし、ちょっと見方を変えると、そこで花粉をブロックしていることになります。もし花粉がなんの障害物にも出会わず、まっしぐらにやすやすと気管支にまで到達してしまったら、どうなるでしょうか? 花粉症よりももっと重篤なスギぜんそくを引き起こす危険性があります。

花粉症で死ぬことはまずありません。しかし、ぜんそくはこわい疾患です。発作が激しければ、呼吸困難になって窒息を起こし、最悪の場合は死亡します。

花粉症の人もときどきは「花粉症が起きることで、もっとこわい病気から守られているんだ」と考え、違った目で花粉症を見てやってください。

アレルギー疾患の症状の自覚には、心理的な面も影響します。花粉症の人は、等しく花粉の飛来する時期を乗り切らなければなりません。楽観的になり余裕をもつことができるなら、そうするほうが得策です!

古くて新しいアレルギー

アレルギーは古くて新しい病気です。免疫学が進歩し、科学的に解明された部分もたくさんありますが、いまだ謎として残されている問題もあります。

私は臨床医として、これまで多くのアレルギー患者さんと接してきました。そしてこれからもまだ肖分は現役の医師として、多くの方々とおつきあいさせていただくっもりでいます。

当然、アレルギー専門医として、1人ひとりの患者さんにとってベストと思われる治療法を提供し、不快な症状が抑制・改善され、支障のない日常生活を送っていただくお手伝いをしたいと思っています。

アレルギー患者のみなさんが納得して治療を受け入れるには、アレルギーという病気について、雌本的な知識をもつことが必要です。

免疫の話からはじめて、アレルギーとはこういう病気であるということを、わかりやすく説明していきたいと思います。そうすることによって、患者さんにとってだけではなく、アレルギーに関心をもつ人たちにとっても、無理なく読める入門書になると考えます。